【試乗レビュー】VAN DEER FREERIDE 108|これはカラダを仕上げてから乗るスキーだ

スキーについて

【試乗レビュー】VAN DEER FREERIDE 108|これはカラダを仕上げてから乗るスキーだ

今回試乗したのはVAN DEER-Red Bull Sportsの、

「FREERIDE 108」です。

VAN DEERといえば、アルペンスキー界の絶対王者とも言えるマルセル・ヒルシャーが立ち上げたブランド。

そんな人が作ったフリーライドスキーとなれば、当然気になります。

ただ実際に乗ってみて思いました。

これは気軽に乗るスキーじゃない。

圧倒的な走破性。

スキーを踏んだ瞬間の反応。

そして速度を上げれば上げるほど感じる安定感。

完全に「カラダを仕上げている人向けのタフガイ仕様」でした。

今回はそんなFREERIDE 108について書いてみます。

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VAN DEER FREERIDE 108の基本情報

まずは基本的なスペックから。

  • メーカー: VAN DEER-Red Bull Sports
  • モデル: FREERIDE 108
  • サイズ展開: 164 / 172 / 180 / 188cm
  • スリーサイズ: 148-108-130mm
  • ウエスト幅: 108mm
  • ターン半径: 18m(180cm)
  • 重量: 約2,030g / 片足(180cm)
  • 試乗サイズ: 180cm
  • コア: Beech-Paulownia Wood Core
  • 補強材: Double Titanal + Carbon
  • 構造: Full ABS Sidewall
  • ロッカー: Tip Rocker
  • カテゴリー: Freeride / Big Mountain

まず目につくのが構造。

ダブルチタナル+カーボン。

しかもレースエッジやレースルーム仕上げまで採用されています。

フリーライドスキーなのに、中身を覗いてみれば随分とレーシー。

センター108mmのパウダー寄りのフリーライドスキーですが、フワフワと雪の上を漂うだけのスキーではありません。

今回試乗したのは180cm。

スペックだけを見ると、かなり手強そうなスキーです。

ところが実際に乗ってみると、強烈な走破性を持っている割には意外と動かしやすい。

そして乗り終わってから思ったのが、

「これなら、もう少し長くても良かったなぁ~」

ということでした。

FREERIDE 108を試乗した印象

最初に感じたのは、

「メチャクチャ走るな」

ということ。

とにかく走破性が高い。

スキーにしっかり荷重して速度を上げていくと、雪面の細かな凹凸を気にすることなく前へ前へと進んでいきます。

そしてスキーから返ってくる反応も速い。

踏む。

返ってくる。

次のターンへ入る。

この一連の動きが非常に明確です。

ダブルチタナルを使ったスキーなので、もっと重ったるい感じを想像していました。

でも実際にはそれほど重さを感じない。

むしろ、

「この安定感で、この動かしやすさなの?」

という印象でした。

そして180cmを乗っていて感じたのが、もう4~8cmくらい長くても良かったということ。

もちろん180cmでも十分に楽しめます。

ただ、このスキーの場合は小さくまとめて滑るよりも、もう少し長さを使ってスピードを上げた方が本来の性能を楽しめそう。

FREERIDE 108の圧倒的な走破性を考えると、自分なら次に試乗する機会があれば188cmにも乗ってみたいと思いました。

FREERIDE 108の良い点

圧倒的な走破性

まずはコレ。

とにかく前へ進みます。

荒れた雪面でもスキーが必要以上にバタつかず、そのまま突破していける。

速度が上がるほど安定感が増していく印象があります。

普通のスキーなら少し速度を落としたくなるような場所でも、

「まだ行ける」

と思わせてくれる。

ビッグマウンテン系のフリーライドスキーとして、この走破性はかなり魅力的です。

スキーからの反応が速い

FREERIDE 108は単純に硬いだけのスキーではありませんでした。

踏んだときの反応が非常に分かりやすい。

こちらから入力すれば、それに対してすぐにスキーが返してくれる。

踏むほどに反応が返ってくるので、積極的にスキーを動かしたくなります。

逆にボーッと乗っていると、このスキーの良さはあまり引き出せないと思います。

自分から積極的に動く。

スキーを踏む。

そして返ってきた力を次のターンへ繋げる。

そんな滑り方が面白いスキーです。

性能の割に重さを感じない

これもかなり印象に残りました。

ダブルチタナル。

カーボン。

センター108mm。

スペックだけを見れば、もっと重厚なスキーを想像します。

ところが実際には、それほど重さを感じません。

もちろん超軽量ツアースキーとは違います。

でもこの走破性と安定感を考えれば、かなり上手く重量をまとめていると思います。

軽量だから軽快なのではなく、強いスキーなのに動かしやすい。

ここがFREERIDE 108の凄いところでしょう。

180cmでも余裕を感じる操作性

今回試乗した180cmでも、長さをほとんど意識しませんでした。

むしろ、

「もう少し長くてもイイな」

と思ったくらい。

センター108mmでダブルチタナル入りというスペックだけを見ると、長くすればするほど扱いにくくなりそうです。

ところが180cmではスキーの強さに対して、むしろ長さが少し物足りなく感じました。

それくらい操作性には余裕があります。

FREERIDE 108の悪い点

楽をして乗るスキーではない

ここが最大の注意点。

FREERIDE 108の性能を楽しむためには、乗り手側にもそれなりの体力と技術が必要だと思います。

スキーは反応してくれる。

でも、その反応を受け止められなければ意味がありません。

午前中は楽しい。

午後になって脚が終わってくる。

そこでスキーだけが元気。

そんな状況になったら、多分かなり辛い。

一日を通してこのスキーを楽しむなら、

技術だけではなく体力も必要。

そんな印象を持ちました。

上を目指さないならオーバースペックかもしれない

FREERIDE 108は非常に高性能です。

でも高性能だから誰にでもオススメ出来るわけではありません。

ゆっくりパウダーを楽しみたい。

ゲレンデを流しながら時々オフピステへ入る。

そんな使い方なら、もっと楽なスキーはいくらでもあります。

このスキーが面白いのは、

もっと速く滑りたい。

もっと強く踏めるようになりたい。

もっと難しい斜面へ行きたい。

そんな欲がある人でしょう。

現在の自分にピッタリなスキーというより、

自分を次のレベルへ引っ張ってくれるスキー。

そんな印象です。

VAN DEERというブランドだけで買うのはオススメしない

そして一番言っておきたいのがコレ。

VAN DEERはカッコいい。

マルセル・ヒルシャーが作ったブランド。

Red Bull。

レーシング。

高性能。

所有欲を刺激する材料は十分すぎるほど揃っています。

でも、

ブランドバリューだけでFREERIDE 108を買うのはオススメしません。

これはファッションアイテムではありません。

性能を使ってナンボのスキーです。

VAN DEERを履いている自分がカッコいい。

そんな理由だけで選んでしまうと、このスキーの性能と自分との間に結構な温度差が出来ると思います。

180cmより長いサイズを選びたくなる

今回FREERIDE 108に乗って面白かったのが、180cmを「長い」と感じなかったことです。

むしろ逆。

「あと4~8cmくらい欲しい」

と思いました。

このスキーで狙いたいのは、細かなターンを繰り返して小さくまとめるような滑りではありません。

もう少しターンを大きく取る。

スピードを上げる。

荒れた雪面でもラインを変えずに突っ込む。

そんな滑り方をするなら、長さによる安定感をもっと利用したくなります。

自分の場合は184~188cmくらいが面白そう

ラインナップ上では180cmの次が188cmなので、購入候補として考えるならこの2サイズはかなり悩むところでしょう。

ただ今回の試乗だけで選ぶなら、

自分は188cmを試してから決めたい。

それくらい180cmが扱いやすかったということでもあります。

このスキーの場合、

「扱える長さ」ではなく「性能を引き出せる長さ」を選びたい。

そんなことを感じました。

これは「上を目指す人」のフリーライドスキー

FREERIDE 108に乗っていて一番感じたのは、

「このスキーに見合う滑りが出来るようになりたい」

ということでした。

扱いやすさを最優先したスキーではありません。

誰でも気持ち良く滑らせてくれるスキーでもない。

でも自分から積極的に働きかければ、それ以上のものを返してくれる。

こういう道具は面白い。

今の自分の技術に合わせて選ぶのではなく、

これから自分が到達したいレベルに合わせて選ぶ。

FREERIDE 108は、そんな買い方が似合うスキーだと思います。

一番カッコいいスキーにも、一番ダサいスキーにもなる

そしてVAN DEERというブランドには少々危険なところがあります。

上手い人が乗っていると、とんでもなくカッコいい。

身体もしっかり作っている。

滑りも速い。

荒れた斜面をFREERIDE 108で一気に抜けていく。

これはもう文句なし。

「VAN DEERカッコいいな」

となります。

でも、その逆もある。

ブランドネームだけで買ってしまって、スキーの性能を全く使えていない。

それだと途端に道具だけが浮いて見える。

特にFREERIDE 108はレーシングの血がかなり濃いスキーです。

だからこそ、

乗り手まで含めて完成する道具

なんだと思います。

少々乱暴な言い方をするなら、

腹が出た状態でブランドだけをありがたがって乗るのが一番似合わないスキーかもしれません。

これはなかなか恐ろしい。

高性能な道具を買っただけではカッコよくならない。

むしろ道具の性能が高ければ高いほど、乗り手まで見られてしまう。

FREERIDE 108はそんな諸刃の剣です。

まとめ

VAN DEER FREERIDE 108は今回の試乗会でもかなり印象に残ったスキーでした。

圧倒的な走破性。

スキーから返ってくる反応の速さ。

高速域での安定感。

それでいて性能から想像するほど重さを感じない。

完全にタフガイ仕様です。

今回試乗した180cmでも、そのキャラクターは十分に感じることが出来ました。

ただ個人的には、

あと4~8cmくらい長くても良かった。

それくらい操作性に余裕があります。

むしろ188cmにして長さによる安定感を加え、もっとスピードを出したときにFREERIDE 108がどう変わるのか試してみたい。

そう思わせてくれるスキーでした。

今の自分が楽に乗れるスキーを探すのではなく、自分自身の技術や体力を引き上げながら付き合っていく。

そしてサイズについても、

「扱える長さ」ではなく「性能を引き出せる長さ」を選びたい。

そんなフリーライドスキーだと思います。

さすが王者マルセル・ヒルシャーが作ったブランド。

妥協している感じがありません。

ただし、

VAN DEERだから欲しい。

という理由だけなら、一度冷静になった方が良いでしょう。

このスキーの場合、問われるのはブランドではなく乗り手です。

上手く乗れれば最高にカッコいい。

乗れなければ、スキーだけが妙にカッコいい。

そして180cmで物足りなくなって188cmを選んだら、今度は人間側が頑張らなければならない。

FREERIDE 108は乗り手まで試してくるスキー。

なかなか面倒臭い。

でも、こういう道具は好きです。

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